遵法精神をいかに伝えるか(2)

前回、安倍元首相の国葬に関する法的根拠を例に挙げて、法順守について話を展開しました。
誤解があってはいけませんので、政府側の見解も述べると、内閣府設置法に基づいて行うということです。内閣府設置法の本文は閣議決定で決められた行事の事務を執り行うことについて述べています。閣議決定により執り行える行事の中に国葬が含まれるのかという明確な基準はなく、戦前の国葬令は廃止されたため、法的根拠は廃止以前のようにはないと言えます。敢えて言うならば、少なくとも違法ではないというのが落としどころと政府は考えているのではないかと思います。
いろいろな見方はできると思いますが、いろいろな過去の事例と同様に、法解釈によって強引に事を進めたということです。法解釈による適法の範囲を判断することは、その緊急性や法改正の難易度や、その他の如何ともしがたい状況に応じて対処する方法の一つであるとは思います。ただし、それはその状況を放置してよい理由にはなりません。法解釈の変更は、法律に比べ適正な手続きを踏まずにできるからです。

遵法精神をいかに伝えるのか。一つの答えとして、それは法を作ったり、律したりする立場の人間が、自分の都合や利益、面子などに依らず、自ら法の精神に基づいて必ず守るという姿勢を崩さないことだと思います。
これを会社組織に置き換えても、同じことが言えると思います。組織のリーダーを担う人材が法律を後回しにしても良いと考えれば、部下は組織的に不法行為をさせられていると捉えるか、規則やルールより自分の都合を優先してよいと考えることを、止めることはできません。
難しいですが、真に遵法精神を伝えるには、言葉ではなく、行動で示すことが重要なのだと思います。

 

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