人手不足に対する長期的な展望

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仕事柄、お客様だけでなく、いろいろな会社を知る機会は多いのですが、経営者の方たちにとっては今や常識的な日本の会社の課題として、人手不足があります。
よくよく考えれば当たり前のことで、今や日本は超がつく高齢社会。急速に年金生活者など、働かない選択肢を持つ層の割合が増えています。
国の富の指標としてよくGDP(国内総生産)が使われますが、人手不足は需要に対する生産量の低さ、生産性の低さという原因の現れであり、それがGDPに影響するということです。ただ、特に日本における生産性が低いという指摘は、正直に言うとまやかしだと感じています。なぜなら、日本の製造業の生産性は欧米諸国に決して引けを取らないからです。
では、生産性の低さの要因は何かというと、国内サービス業の生産性ということになります。比較となる生産性の高い国は、一部を除いて日本よりも物価が2倍も、3倍もあるような国が比較対象とされています。質の高いサービスを低価格で提供される日本のサービス業は生産性が低くなる道理です。しかもこれはインバウンドなどの一部の例外を除いて外貨を稼ぐ構造になっていないので、国内物価の影響をまともに受けます。
脱線しましたが、そのような状況下で、実際に起きている企業の人手不足をどう解消するのか。具体的な対策は、昔から言われているものの延長線上で、面白みはないですが、切迫した状況から違う面を見出す可能性があると考えています。
1つ目は、外国人労働者の雇用の充実です。これはヨーロッパの国々で実際に進められていて、国内に新たな民族問題や格差社会を生むという悩ましい問題を抱えていますが、中小企業単体でみると全く違った見方もできます。つまり本来の意味で日本人に成り代わって外国人雇用を進めることで、管理職や技能職を含めて給与格差も無くすというようなことをして優秀な人材を確保するというやり方です。まだまだ、日本の中小企業ではここまで思い切ったことをできているところは少ないと言えます。言葉の問題も含めて社内の教育体制はもちろん、社内の体制も変化させる必要があるのが原因だとおもいますが、今後その方向に舵を切る中小企業は決して少数派のままではなくなると思います。
2つ目は、高齢者雇用の充実です。すでに定年制をなくす企業も増えつつありますが、年金などの社会的なインフラを含めて、現状はバランス感覚を失っています。近い将来年金支給だけでは食べていけない高齢者層が出る時代が来る可能性は高いと思います。昔と比べ、肉体的精神的に若い60代は多いですし、増え続けるこれらの層をうまく働ける世の中にしていかないといけないでしょう。欧米と違って宗教的に、労働が神から与えられた罰ではない日本の価値観は、世界と競争する方向性としてはアドバンテージがあると思います。政府が高齢者雇用に対する助成を厚くするなどの思い切った対策も手ですが、企業がいかに工夫をして役割分担ができるかというのも重要な考え方です。
3つ目は、さらなる自動化、機械化の推進です。セルフレジや工場のオートメーション化は、進んでいますが、まだまだ伸びしろがあります。究極なのは製造業であれば機械のメンテナンス要員以外は無人にするというような形を目指して、ちょうどよいバランスのような気がします。いろいろな難しい課題があるのは分かりますが、それに対する対策が日本の企業は伸び悩んでいると切に感じます。
4つ目は、女性の雇用の充実です。これは男女平等参画をエンジンとして、且つて進められてきて、日本では失敗したと思います。しかし今は時代がそれを必要としています。企業側は無理やり女性管理職を増やすのではなく、その途中の女性が終身雇用されることを阻む要素をどれだけつぶしていけるかによります。産休、育休だけでなく、再雇用のハードルを下げたり、休み中のスキルや知識の後退を防ぐ情報発信や教育訓練の充実、必要と採算性があれば企業がハウスキーパーを負担するなんて言うことを進める企業があっても不思議ではない世の中になるかもしれません。
いずれにしても、企業の人事にかかわる社会的な役割は、今までの常識を覆す考えを持たなければ、他社との競争に勝てない時代が今そこまで来ていると感じています。

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