ISOと病院機能評価

 医療の質を評価する指標としては「病院機能評価」の制度を選択する病院が大半を占めており、その中で「ISO9001」を選択する病院は非常に少なくて稀です。しかし内容をよく知ればその両者は似て非なるものということが分かります。むしろ医療の殆どの分野が人の手によって行われることを鑑みれば、ヒューマンエラーを極力なくし、インフォームドコンセントに真摯に向き合い続けるためには、ISO9001の改善し続ける経営管理の仕組みの方が適切なのではないかといえます。
多くの病院でISO9001の認証取得が選ばれないのは、それを有効に機能させることが非常に大変だからです。簡単に認証取得だけしてしまうとシステムは機能しません。ヒューマンエラーやインフォームドコンセントの徹底は、理想を実現することであり、楽をして実現できないことは誰もが分かっていることです。であるのにもかかわらず、「そのための仕組みづくりや維持管理では楽をしたい」という矛盾がそこにはあります。両方の制度を活用するのが理想ですが、より問題意識の高い医療関係者の方には、特にISO9001を勧めたいと考えております。以下の表は病院へのISO9001導入と病院機能評価の比較です。

項目ISO9001病院機能評価
認定取得の要件△:ISOの基準に照らし合わせて、改善し続ける仕組みがあり、改善している事〇:専門的な医療の管理レベルの基準をクリアしている事
認証取得の現実的なハードル△:医療とは関係の無いマネジメントの専門知識が必要△:基準をクリアするために設備導入が必要な場合もある事
自助努力を誘引する仕組み△:病院長を含めた全部門に対する他部門による内部監査△:部署ごとに定められた項目についての自己評価の実施
維持審査の頻度✕:1年に1度の維持状況の審査、3年に1度の機能確認の更新審査〇:5年に1度の維持状況の審査
制度としての弱点△:医療の質向上のためには自ら高い目標を掲げる必要がある✕:業務の質の維持や向上に対するモチベーションに繋がらない
制度としての利点〇:患者満足度が指標となるため、患者さんに向き合う体制ができる△:統一的な指標のため、認証取得のない病院との差別化が明確
医療の質の評価としては✕:医療の質を保証するものではなく、原則として改善の姿勢が評価される◎:専門分野毎に詳細に基準があり基準以上の医療の質が認められる
ヒューマンエラー対策との相性について◎:多種多様な課題を現場レベルで改善しつづける✕:制度自体は職員のモチベーションアップに直接つながらない

 

ISO9001で経営悪化の要因である医療訴訟を防ぐ

(1) ISO9001認証取得の効果
 
 病院の活性化・ISO9001の認証取得と維持管理のコンサルタントに、20数年間亘り携わって来ました。岐阜県高山市にある「久美愛厚生病院」は、ISO9001を認証取得されてから、経営に大きな影響を及ぼす医療訴訟は、一度も発生しておりません。何故?医療訴訟が無くなったのでしようか?その大きな要因は三つあります。一つは「しっかりとした医療管理システムが構築され、業務プロセスと責任が明確になったこと」です。二つ目は「ISO9001を取得して、このISO9001が医療管理システムの、チェックリストとして機能していること」三つ目は「問題が発生しても、個人の責任が追求されるのではなく、プロセスの不備な点が見直され、再発防止が図られていること」です。
この病院のISO認証取得の経験から言えることは、病院を経営する中で、一番の課題となる「医療ミス・医療事故・医療訴訟」が大幅に減少すると言うことです。
それを生み出しているのが「医療管理システム」の不備です。この不備を改善するのが「ISO9001(品質マネジメントシステム)」です。そして、もう一つは「職員の意識改革」です。
患者の治療を行うには「チーム医療」が重要ですが、この「チーム医療」を行うには「職員の意識改革と医療管理システムの完成度」を上げる病院活性化が必要不可欠です。

ISO9001認証取得でチーム医療の形が整う

(2) ISO9001の認証取得する時の注意点は
 
 ISOの認証取得して失敗する典型的な事例は「認証取得をいかに手を掛けずに、とりあえず取るか」と考えて、実際には活用出来ない仕組みや、実際には使わない仕組みを作って、審査だけ通してしまおうというコンセプトで進めることです。
実際にそのような思いで、ISOの認証取得を取ってしまった場合、ISOの仕組みは仕事の邪魔にしかならず、形骸化してしまいます。ISOの取得に取り組むのなら、最初から役立つものを真剣に作ろうとしなければなりません。
ISOの導入の道筋として望ましいのは、ISOの仕組みを作り上げる活動を通じて、組織のモチベーションを上げる組織の活性化を行うことにあります。
「ISOの仕組みを使って病院を良くして行こう」という、思いが組織全体に広がってこそ、ISOの仕組みに従って、効率よく、継続的に病院の改善が進みます。

活きたISO9001を構築するためには(図をクリックで病院の文書体系事例へ)

(3) 病院における ISO9001の認証取得プログラム
 前述した本当に意味のあるISO9001を活用した医療管理システムを構築し、それを活かせるような組織改革を進めるためには、経験のある先導役がいる上で、学びながら認証取得に向けて動くことが必要不可欠です。以下の図は、その上でISO9001の認証取得するまでの標準的な計画のイメージです。

 病院活性化についてご興味いただけましたらただけましたら、是非ご質問等お問い合わせいただけましたら幸いです。

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